なぜそうなるか
勤怠の休憩は、何分とる決まり?——労働基準法第34条は、6時間を超えれば45分以上、8時間を超えれば1時間以上を「労働時間の途中に」と定めています
勤怠の画面やタイムカードには、出勤と退勤のほかに、休憩の欄がついていることがよくあります。
そこに何分を入れればいいのか。昼に1時間と決まっている職場もあれば、45分の職場もあって、人によって感覚がばらばらです。
始業と終業の時刻をどう記録するかは、前の記事で厚生労働省のガイドラインから読みました。今回は、その間に挟まる休憩の側を扱います。
読んだのは、労働基準法の第32条・第34条・第89条の条文と、厚生労働省の「よくある質問」のうち、休憩時間を分割する場合の回答です。どれも2026年9月27日の時点で読みました。
休憩中に電話番を頼まれた、昼休みが毎日短くなる、といった個別の相談に答える記事ではありません。自分の職場が決まりに合っているかの判断も、ここではしていません。
条文に書かれている長さと、与え方と、使い方。この3つを、書かれている順に確かめていく形で読んでください。
・労働時間が6時間を超えるときは少なくとも45分、8時間を超えるときは少なくとも1時間の休憩が要る
・休憩は、労働時間の「途中に」与えるものとされている
・休憩は一斉に与えるのが原則で、書面の協定があれば例外になる
・休憩時間は、自由に利用させなければならない
・休憩時間は、就業規則に書く事項の1つに挙がっている
休憩は、何分とればいいの?
7時間働く日と、9時間働く日で、休憩の長さは変わるの?
休憩の長さを決めているのは、労働基準法第34条の第1項です。
使用者は、労働時間が六時間を超える場合においては少くとも四十五分、八時間を超える場合においては少くとも一時間の休憩時間を労働時間の途中に与えなければならない。
7時間の日は「6時間を超える場合」に当たり、45分以上。9時間の日は「8時間を超える場合」に当たり、1時間以上になります。
条文の区切りは「超える場合」です。6時間ちょうどまでの日について、第34条は休憩の長さを書いていません。そういう日に休憩を置くかどうかは、職場の決まりの側で確かめることになります。「少くとも」の意味
45分や1時間は、下限として書かれています。それより長い休憩を置くことは、この条文の書き方と両立します。
労働時間の上限とは、別の条文
1日と1週の労働時間の上限は、第32条にあります。1週については次の文です。
使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。
1日については、第2項がこう定めます。
使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
どちらも「休憩時間を除き」と書いています。勤怠の記録で休憩を分けておくのは、この数え方と関わるためです。
休憩は、いつ、どう与えるの?
仕事の最後に45分まとめて休んで、早く帰るのはだめ?
上に引いた第1項の末尾が、「労働時間の途中に与えなければならない」です。始業の前や終業の後に置く形は、この文言とは違います。
一斉に与えるのが原則
与え方について、第2項は短い1文から始まります。
前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。
その後に、例外が続きます。
ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。
交代で休憩をとっている職場が、どの根拠でそうしているのかは、この条文だけでは分かりません。業種ごとの扱いを定めた施行規則は、この記事では読んでいないためです。
細かく分けてもいいの?
厚生労働省の回答は、分けること自体を禁じる形ではなく、注意点として次の文を挙げる形です。
分割された休憩時間がごく短い場合、休憩時間の自由利用が事実上制限されるため、労働者が労働から完全に解放されているとは評価されない場合があります。
何分までなら「ごく短い」に当たるかは、回答には書かれていません。
休憩中に、電話番をしてもいいの?
昼休みに席で電話を待っているのは、休憩になるの?
使用者は、第一項の休憩時間を自由に利用させなければならない。
厚生労働省の回答は、休憩時間の中身をこう説明しています。
また、休憩時間とは単に作業に従事しないいわゆる手待時間は含まず、労働者が権利として労働から離れることを保障されている時間をいいます。
回答は、作業をしていないだけの「手待時間」を休憩に含めない、としています。電話番がこの手待時間に当たるかどうかは、名指しでは書かれていません。
休憩時間は、どこに書いてあるの?
自分の職場の休憩の長さは、どこで確かめられるの?
就業規則の作成と届出を定める第89条は、次の文から始まります。
常時十人以上の労働者を使用する使用者は、次に掲げる事項について就業規則を作成し、行政官庁に届け出なければならない。
書く事項の第1号は、次のとおりです。
始業及び終業の時刻、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を二組以上に分けて交替に就業させる場合においては就業時転換に関する事項
作成を求められているのは、常時10人以上の労働者を使用する使用者です。10人未満の職場の休憩の決まりがどこに書かれるかは、読んだ条文には書かれていません。
| 条文 | 書かれていること | |
|---|---|---|
| 長さ | 第34条第1項 | 6時間超で45分以上、8時間超で1時間以上 |
| 置く時間帯 | 第34条第1項 | 労働時間の途中 |
| 与え方 | 第34条第2項 | 一斉が原則、書面の協定で例外 |
| 使い方 | 第34条第3項 | 自由に利用させる |
| 書く場所 | 第89条第1号 | 就業規則に休憩時間を書く |
よくある質問
残業で8時間を超えたら、休憩を15分足すのですか
第34条の区切りに当てはめると、8時間を超える日の下限は1時間です。すでに45分をとっていた日に、残りをいつ与えるかは、条文には書かれていません。職場の担当部署で確かめてください。
勤怠の記録には、休憩の開始と終了の時刻も要りますか
前の記事で読んだガイドラインが記録を求めているのは、始業と終業の時刻です。休憩の開始と終了を記録する決まりは、この記事で読んだ条文と回答には見当たりませんでした。
パートやアルバイトも同じですか
第34条の条文は、正社員かパートかではなく、労働時間の長さで区切る書き方です。
この整理が変わる条件
- 労働基準法が改正された場合(本記事は2026年9月27日に読んだもの)
- 第41条に当たる人など、第34条が適用されない働き方の場合
- 職場に、一斉付与の例外の協定がある場合
- 業種によって一斉付与の扱いが別に定められている場合(施行規則は、この記事では読んでいない)
・6時間を超える日は45分以上、8時間を超える日は1時間以上
・休憩は、労働時間の途中に置く
・一斉にとるのが原則で、書面の協定があれば例外になる
・休憩中は自由に使える時間で、作業をしていないだけの手待時間は休憩に含まれない
・自分の職場の休憩の長さは、就業規則で確かめる
出典
- 労働基準法 第32条・第34条・第89条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049
- 厚生労働省「休憩時間を分割する場合どのようなことに注意が必要でしょうか。」 https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/faq_kijyunhou_14.html
休憩の決まりは、職場の就業規則や、最寄りの労働基準監督署の案内でも確かめられます。
当方が上の出典を引いて確かめた日: