なぜそうなるか

勤怠の記録は、何で取ればいい?——厚生労働省のガイドラインは「タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録」を原則に挙げていました

出勤と退勤の時刻を、どう記録するか。紙の出勤簿に書く職場もあれば、カードをかざす職場もあります。

記録の取り方は、職場が好きに決めてよいものなのでしょうか。それとも、国が何かを示しているのでしょうか。

厚生労働省は「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」という文書を公開しています。労働安全衛生法と、その施行規則にも、労働時間の状況の把握について条文があります。

この記事では、そのガイドラインと2つの条文を、2026年9月26日の時点で読みました。

どの勤怠管理のシステムを選ぶべきか、いくらかかるのかは扱いません。読んだ文書が、あなたの職場の働き方に当てはまるかどうかも、ここでは判断していません。

働き方によって当てはまる決まりが変わるので、職場の担当部署や労働基準監督署の案内とあわせて読んでください。

この記事でわかること
・ガイドラインは、始業・終業の時刻を日ごとに確認し記録することを使用者に求めている
・確認の方法の原則は、使用者が自ら現認するか、客観的な記録を基礎にするかの2つ
・自己申告で記録する場合には、講ずべき措置が別に並べられている
・労働時間の記録に関する書類は、3年間の保存が求められている

始業と終業の時刻は、誰が記録するの?

記録するのは、働く側の仕事?

ガイドラインは、使用者が始業・終業時刻を確認し、記録することを求めていました。

ガイドラインの「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置」の最初の項目は、次のとおりです。

使用者は、労働時間を適正に把握するため、労働者の労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、これを記録すること。

「労働日ごとの」とあるので、月の合計ではなく、日ごとの始業と終業の時刻が対象になります。

ガイドラインの対象になる人・ならない人

対象になる労働者の範囲は、ガイドラインの「適用の範囲」の項にあります。

本ガイドラインに基づき使用者(使用者から労働時間を管理する権限の委譲を受けた者を含む。以下同じ。)が労働時間の適正な把握を行うべき対象労働者は、労働基準法第41条に定める者及びみなし労働時間制が適用される労働者(事業場外労働を行う者にあっては、みなし労働時間制が適用される時間に限る。)を除く全ての者であること。

ただ、除かれる人について、何もしなくてよいとは書いていません。すぐ後に、こう続きます。

本ガイドラインが適用されない労働者についても、健康確保を図る必要があることから、使用者において適正な労働時間管理を行う責務があること。

確認の方法は、何でもいいの?

紙に手書きでも、カードでも、同じ扱い?

ガイドラインは、原則の方法を「現認」と「客観的な記録」の2つに絞って挙げていました。

原則として、次のいずれかの方法によること、とされています。1つ目はこうです。

使用者が、自ら現認することにより確認し、適正に記録すること。

2つ目が、題に挙げた方法です。

タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適正に記録すること。

タイムカードとICカードとパソコンは、例として並んでいます。「等」とあるので、この3つに限った書き方ではありません。

働く人が自分の時間を書いて出す形は、この2つとは別の扱いです。ガイドラインは、それを「自己申告制」と呼んで、別の項目にまとめています。

自己申告で記録するときは、何が求められるの?

自分で時間を書いて出す形は、使えないの?

使えない、とは書かれていません。「行わざるを得ない場合」に講ずべき措置が、項目を分けて並べられていました。

ガイドラインが挙げる措置は、アからオまでの5つです。働く人や管理する人への説明、実態調査と補正、事業場内にいた時間の理由の確認、申告を妨げる措置の禁止が並んでいます。

そのうち、記録の食い違いについての項目はこうです。

特に、入退場記録やパソコンの使用時間の記録など、事業場内にいた時間の分かるデータを有している場合に、労働者からの自己申告により把握した労働時間と当該データで分かった事業場内にいた時間との間に著しい乖離が生じているときには、実態調査を実施し、所要の労働時間の補正をすること。

申告の上限については、次の項目があります。

使用者は、労働者が自己申告できる時間外労働の時間数に上限を設け、上限を超える申告を認めない等、労働者による労働時間の適正な申告を阻害する措置を講じてはならないこと。

自己申告の形を取る場合でも、入退場の記録やパソコンの記録が手元にあれば、それと突き合わせることが求められる、という書き方です。

労働安全衛生法には、何と書かれているの?

ガイドラインのほかに、法律の条文もあるの?

労働安全衛生法第66条の8の3が、事業者に労働時間の状況の把握を求めていました。

条文は次のとおりです。

事業者は、第六十六条の八第一項又は前条第一項の規定による面接指導を実施するため、厚生労働省令で定める方法により、労働者(次条第一項に規定する者を除く。)の労働時間の状況を把握しなければならない。

ここでいう「厚生労働省令で定める方法」を書いているのが、同法施行規則第52条の7の3です。

法第六十六条の八の三の厚生労働省令で定める方法は、タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法とする。

ガイドラインと条文は、目的が別です。ガイドラインは労働時間の適正な把握を、条文は面接指導を実施するための把握を、それぞれ書いています。対象から除かれる人の書き方も、2つで同じではありません。

記録は、どれくらい残すの?

タイムカードは、いつまで取っておくもの?

ガイドラインは、出勤簿やタイムカード等の書類を3年間保存するよう書いていました。

使用者は、労働者名簿、賃金台帳のみならず、出勤簿やタイムカード等の労働時間の記録に関する書類について、労働基準法第 109 条に基づき、3年間保存しなければならないこと。

施行規則の第52条の7の3にも、第2項に保存の定めがあります。

事業者は、前項に規定する方法により把握した労働時間の状況の記録を作成し、三年間保存するための必要な措置を講じなければならない。

ガイドライン労働安全衛生法・同法施行規則
何のための把握か労働時間の適正な把握面接指導を実施するため
挙げている方法現認/タイムカード、ICカード、パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録タイムカードによる記録、パーソナルコンピュータ等の電子計算機の使用時間の記録等の客観的な方法その他の適切な方法
保存出勤簿やタイムカード等の書類を3年間労働時間の状況の記録を3年間

表は、読んだ文書の書き方を並べたものです。どちらが自分の職場に当たるか、両方当たるかは、働き方によって変わります。

よくある質問

パソコンのログインの記録だけで足りますか

ガイドラインは、パソコンの使用時間の記録を客観的な記録の例として挙げています。それだけで足りるかどうかは、読んだ文書には書かれていませんでした。

管理職も記録の対象ですか

ガイドラインは、労働基準法第41条に定める者を対象から除いています。一方、労働安全衛生法第66条の8の3が除いているのは「次条第一項に規定する者」です。自分がどちらに当たるかは、職場の担当部署で確かめてください。

テレワークのときも同じですか

読んだ3つの文書には、テレワークに限った書き方はありませんでした。

この整理が変わる条件

勤怠の記録のめやす
・始業と終業の時刻は、日ごとに確認して記録する
・原則の方法は、現認か、タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間などの客観的な記録
・自己申告にする場合は、実態との突き合わせが求められる
・申告に上限を設けて、それを超える申告を認めない、といった措置はしない
・出勤簿やタイムカード等の書類は、3年間保存する

出典

自分の働き方に当たる決まりは、職場の担当部署や労働基準監督署の案内で確かめてください。

当方が上の出典を引いて確かめた日:

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